インド特許庁は、2024年3月15日付で特許規則を改正し、同日に施行しました。改正された主なポイントを以下に示します。
●分割出願の要件が緩和されました(Rule 13(2A))
これまでは、親出願の特許請求の範囲に複数の発明が開示されている場合に限り分割出願が可能とされてきましたが、複数の発明が特許請求の範囲又は明細書に開示されている場合に、分割出願が可能であることが明確化されました。
●審査請求期限が短縮されました。(Rule 24B (1))
審査請求期限は、優先日又は出願日のいずれか早い日から48月以内でしたが、31月以内に短縮されました。
●対応外国出願に関する情報開示(Form3)義務が緩和されました。(Rule 12 (2) 及び Rule 12 (4))
これまでは、インド出願後6月以内にForm3を提出し、その後は、対応外国出願(分割出願)の出願日から6月以内に、その都度更新したForm3を提出する必要がありました。
今回の規則改正により、インド出願後6月以内にForm3を提出した後は、FERが発行されてから3月以内にForm3を提出すればよいことになりました。
但し、コントローラから要求された場合は、通知日から2月以内に提出する必要があります。
なお、Form 4を提出することで、Form 3の提出期限が最長3月まで延長可能となりました。(延長料金:10,000ルピー/月)
●対応外国出願の審査状況に関する資料提出義務が緩和されました。(Rule 12(3))
これまでは、対応外国出願のOA通知書やそれに対する応答書類を提出する必要がありましたが、今後はコントローラ自身が、アクセス可能な各国特許庁のデータベースで確認することが規定されました。
●異議申立(許可前、許可後)におけるコントローラの対応が明確化され、また、応答期限等が短縮されました。(Rule 55 及び Rule 56)
許可前異議申立では、コントローラによる異議申立内容の審査の手順が明確化され、根拠のない無分別な申立が抑制されることが期待できます。なお、異議申立通知に対する出願人の回答期限が3月以内から2月以内に変更されました。
許可後異議申立では、異議部勧告の発行が、異議申立文書受理から2月以内(これまでは3月以内)に変更され、早期決着が期待できます。
●特許の実施報告書の提出義務が緩和されました。(Rule 131(2), Form 27)
これまでは、各会計年度ごと(1年に一回)に提出が必要でしたが、Rule改正により、3会計年度の満了から6月以内に1回(3年に一回)提出すればよいことになりました。下記表をご参照ください。
また、Form 4を提出することで、Form 27の提出期限が最長3月まで延長可能となりました。(延長料金:10,000ルピー/月)
なお、実施報告書のForm 27には下記の変更があります。(Form 27を抜粋した下図をご参照ください。)
- 実施された特許発明についての収益/価値等の申告要件が削除されました。
- 特許発明が実施されていない理由として、複数の選択肢があらかじめ列挙されています。なお、特許製品がインド国内に輸入されていることは、特許発明が実施されていない理由にはならないことが明確化されました。
●維持年金が割引されることになりました。(Rule 80(3))
4年分以上の維持年金を、e-filingで前払いすると、庁費用が10%ディスカウントされます。
●期限延長が可能になりました。(Rule 138)
これまでコントローラの裁量による延長が不可とされてきた期限も延長可能となりました。Form4を提出することで、最長6月までの延長が認められ、6月内であれば何度でも延長申請が可能となっています。(延長料金:50,000ルピー/月)
※なお、複数の現地代理人からの情報によりますと、この規定の具体的な適用についてはいくつか不明確な点が存在し、今後のインド特許庁からの通知が待たれる状況となっているようです。この点については、弊社は、引き続き最新の情報をご提供できるよう努めてまいります。
(出典:インド特許庁ホームページなど)