統一特許裁判所とオプトアウト
統一特許裁判所(UNIFIED PATENT COURT:UPC)は、単一効特許だけでなく、既存の欧州特許についても管轄し、侵害訴訟(Infringement)や取消訴訟(Revocation)を扱います。UPCの裁判制度を利用すると、国ごとに訴訟を提起しなくてもよいので大幅なコスト削減が図れ、また国によって判断が分かれたりする事態を避けることができます。
一方で、UPCでの侵害訴訟に対する反訴や、取消訴訟により単一効特許の特許権が無力化される、いわゆる「セントラルアタック」が起こり得ます。
既存の欧州特許や、UPCA発効後に単一効特許を指定しなかった特許は、オプトアウト(OPT-OUTS)申請することによって、すべての訴訟手続きは統一特許裁判所ではなく、各国裁判所で行われますので、いわゆる「セントラルアタック」は回避することができます。
オプトアウト申請の期間
UPCA発効の3か月前から始まるサンライズ期間と、UPCA発効後の移行期間(少なくとも7年で最長14年まで延長可能)の満了の1ヵ月前までは、オプトアウトが可能です。ただし、単一効特許を選択した場合は、オプトアウトすることはできません。また、単一効特許を選択せず、各国で有効化手続きを行った場合でも、すでにUPCに訴訟が提起された場合はオプトアウトすることはできません。
なお、オプトアウトしていない場合であっても、上記の移行期間の間は、侵害および取り消しに関する訴訟は、UPCだけではなく、国内の裁判所に提起することも依然として可能です。
オプトアウトの申請先
オプトアウトの申請先は、EPOではなくUPCのRegistryとなります。
オプトアウトの取り下げ
オプトアウトは、いつでも取り下げる(オプトイン)ことができます。ただし、いずれかの国の裁判所で訴訟が提起された場合は、取り下げることはできません。
オプトアウトのコスト
オプトアウトの申請を行う場合の庁費用は無料です。なお、現地代理人費用は、まだ確定していない事務所が多いようです。
以上